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こうして―― 「あっ……」 約10年が経過した後、ショッピングモールで偶然沙織に会ったのだ。 沙織に「元気だった?」と聞かれても、こちらからは「沙織は元気だった?」と聞く勇気もなく、権利もない気がして俯いた。 すると沙織はポツリと話し始めた。 「中学の時は本当にごめんね。なんていうか……未熟だったよね、っていう一言で片づけていいものなのか……」 沙織の方からそう言葉を発せられて、私は突き動かされるように顔を上げた。 「私……仲間外れにされる辛さを知ってて、真美ちゃんに迎え入れてもらった時のホッとする気持ちだって知ってたはずなのに、沙織にはそれを許せなかった」 「いや、そりゃそうだよ。私が悪いって」 「でも……」 「あの時真美ちゃんに言われたの。『結衣ちゃんを恨まないでね。当然のことだと私は思う』って。でも真美ちゃんってそこで終わらない人で、地味女子グループの子たちに聞いてくれたんだよ。『だれか沙織ちゃんと過ごしてくれる子いる?』って。それで『いいよ』って言ってくれた二人が私と過ごしてくれたんだよね」 そうだったんだ……知らなかった。 「そっか……私たちって二人とも、真美ちゃんの心の広さに救われたんだね」 「そうだね」 そう話したら、自然と沙織と目を合わせて一緒に笑ってた。 「ねぇ沙織……あの時はごめんね。ずっと伝えたかったんだ」 「ううん、私の方がごめん」 心のドーナツの穴にふわりと半透明の蓋が被せられたような感覚がした。
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