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私のドーナツみたいに空いた心の黒い穴は、きっと完全に消えてなくなることはない。
でもそうやって目を覆いたくなるような痕が残っているからこそ、同じことを繰り返さない自分でいられるのかもしれない。
忘れるな、痛みを、苦しみを、傷を、黒さを。
それは自分が苦しむためではなく、人にやさしくなるためだ。
ともすれば自分の受けた痛みや苦しみを同じように返してしまいたくなる黒いドーナツホール。
でも返しても結局また痛みを伴うのだ。
淡い痕となった黒いドーナツホールは、それを思い起こさせながら、これからも私を成長させる大事な傷痕となるのだろう。
【了】
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