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【1】
それは突然始まった。
「ちょっと、無視しないでよ!」
クラスメイトの雛が、里美と雪乃に向かってそう叫ぶ。
一体何事? と疑問に思っていると隣の席に座る沙織が私に告げる。
「結衣、行こう?」
「……うん」
何だったんだろう。
私のクラスは大きく分けてとキラキラ女子グループと地味女子グループに別れていて、私は恐れ多くもキラキラ女子グループに所属している。学年でも美人と言われる雛・里美・雪乃をスリートップとしたキラキラ女子グループ。クラス替えすぐの頃、「結衣、こっちにおいでよ」と里美に呼ばれた時は密かに心を躍らせるほど嬉しかった。
正直言って地味女子グループに入るのは嫌だった。だってちょっとダサいんだもん。だから呼んでもらえてホッとした。
そしてキラキラ女子グループはいつも流行りの服やスイーツの話で盛り上がるおしゃれな雰囲気。話に付いていくのはちょっと大変だけれど、雛・里美・雪乃、そして私と沙織を含めてみんな仲良くしていた。
それなのに……。
雛は学年の中でも特に美人で有名で、おまけに頭もよくて気の利いた面白いことも言える飾らない人柄の人物だ。だから男子にもすごくモテて友達も多い。
正直言って羨ましい。非の打ち所がなくて神様って不公平って思えるほどだ。
そんな雛だから、仲間外れとか無視されることなんて上手く結びつかなくて、私は「何だろうな……」と傍観していた。
その後も里美と雪乃が執拗に雛を無視して仲間外れにする様子が見て取れた。
雛はこわばった顔で「ねぇ、そういうのやめて」と言っていたが、里美と雪乃は取り合わずに無視し続けていた。
「もう、あの二人すごく嫌なんだけど……」
雛が通りすがりに私に向かってそう言うと、そばにいた沙織が私に告げる。
「結衣、行こう?」
「えっ……? あ、うん」
雛は茫然とした様子でその場にポツンと残された。
……沙織も一体何なの?
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