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それから1週間ほど同じような状況が続き、私は何が起きているのかよくわからないまま過ごしていた。 いや、正しく言えば何が起きているのか深く追求せずに過ごしていたと言える。 そんなある日の放課後、部活後に忘れ物をしたことに気づいて教室に戻ると、教室内には雛と、そして同じクラスの男子・(りつ)君がいた。 私は何となく隠れたくなって、教室の外に潜んだ。だって何だかただならぬ雰囲気っていうヤツで……と理由を付けつつ、結局のところ入る勇気が出なかっただけだ。 雛は美人、律君も学年一のイケメンで、雛と律君は密かに周りから両思いだと噂されていたのだ。 すると雛の声が聞こえてきた。 「私、律君のこと嫌いなの。ごめんね」 えーーっ!? 衝撃の声が聞こえてきて、私は度肝を抜かれていた。 それから雛が、そして数分後に落ち込んだ様子の律君が教室を出て行って、私はようやく中に入れたのだった。 まさかの……雛って律君のこと嫌いだったの!?  なんだ、そうだったんだ……。 翌日、私は早速このことを沙織に報告した。 「ねー聞いて。昨日の放課後ね、雛が律君のこと振ってるの見ちゃったよ」 「へーえー」 「もうすごくびっくりだよ。てっきり二人は両思いだと思ってたもん。でも……雛が振ったなら、ある意味チャンスってことじゃない?」 「え、チャンス?」 「うん。傷心の律君にアピールチャンス」 失恋した人を慰めて、仲良くなって付き合うこともあるって聞いたことがある。 よぉし、頑張るぞ! その日から、不思議なことに里美と雪乃は雛を無視するのをパタリとやめた。仲間外れにもしたりせず、雛はキラキラ女子グループに戻ってきた。 あぁ、何だかよくわからないけどよかったよかった。 私はそう安堵した。 「ねー、雛って好きな人いないの?」 ようやく雛と話すことが許されるような環境にホッとしつつ雛に問う。 「えっ……好きな人? 何、突然」 「あー、うん。私、てっきり雛は律君のことが好きだと思ってたんだけど、そうじゃないって聞いたから……私、頑張ろうかと思って」 そう言ったら、雛はただ苦笑いだけを返した。
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