22人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
それから数日経ったある晩、僕は夢を見た。
夢の中で真奈美がこちらをじっと見ていた。僕が「どうしたんだよ?」と聞いても何も応えない。そんな夢。
あの日の後ろめたさから見た夢だったんだろうか。
ごめん。
でも僕もひとの温もりが欲しかった。
ごめん。
また、数日後、同じような夢を見た。
今度は真奈美がこちらを見て笑っていた。
久しぶりに見るあの笑顔。
「どうしたの?」と聞いたら「ありがとう」って言ったんだ。
それからひと月後に、真奈美は静かに息を引き取った。
僕は自分の中の何だかわからない黒いものがあったことを肯定しつつ、真奈美に許して貰えたんだと今は思っている。
最初のコメントを投稿しよう!