九内晴廉という男

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「ちょっと、聞いてる?」 「聞いてるよ。今日、すっぴん?」 「そうだけどそれが何?」 「幼いなと思って。なんか子どもみたい」  カッと頬が熱くなりセレンの手を振り解く。  そんなわたしを見て、セレンはけらけらと笑いながら頬杖をついた。 「それ、今関係あるの!?」 「ないよ、全然」 「じゃあ言わないでよ! 急いでたの。わたしが童顔なのを気にしてるって知ってるくせに。話をはぐらかさないで!」  わたしは、セレンの肩をぺちんと叩いた。 「とにかく。わたしにはわたしの生活がちゃんとあるのに、いきなり一緒に住もうだなんて凄く横柄だと思わない?」 「また待ち伏せされてたらどうすんの」 「それはセレンの家でも同じだと思うけど」 「一緒に住んでたら、何かあった時にすぐに対応できんだろ」 「大丈夫だよ。わたしはただ、もうちょっと気を付けてって言いたかっただけ。これからは、女の子の気持ちは弄ばないで。これ大事だからね」 「分かった。じゃあ住むのは期限付きってことで」 「全然分かってないじゃん」 「おれも色々片付けるわ。これ以上迷惑かけられないし」 「片付けるって何を?」 「人間関係」 「人間関係? はぁ、それはまあ……いいんじゃないの」 「1ヶ月な、とりあえず。そこからまた考えよ」  
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