本当のきもち

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   わたしはどこまで狡いんだろう。  セレンの優しさにつけ込んで、何も知らないただの友達を装ってまだ甘えようとしている。  足を引っ張る友達なんかいないほうがいいに決まっているのに。  それでもまだどこかでこの関係を続けられるんじゃないかと期待していて、このままじゃ人としてだめになりそうだ。  セレンを独り占めしたいという、自分勝手な欲に流されて負けていたらいけない。  何もかも取っ払って、わたしが心の奥底で本当に願っているのは、セレン自身が望む幸せを掴むことだ。  そしてセレンにはずっと笑っていて欲しい、とも。  たとえ、目の前でそれが見られなくなっても、この空の下のどこかでセレンが幸せに過ごしているのならそれで十分じゃないか。    お互いのためを思うなら、連絡は無視し続けてあいつはいい加減なやつだと距離を置かれたほうがいいのかもしれない。  そしてそのまま嫌われてしまえば、すんなりと綺麗に終われる。  辛いけど、傷が癒えるまで少しの間我慢すればいいだけだ。  ほんの少しの間だけ。  ずるっと鼻をすする。  もっと上手くやる方法が他にもあるのかもしれない。  でもわたしにはこんな方法しか思い浮かばなかった。  ずっと優しく包み込んでくれていたあの世界を、わたしはひどく傷付けている。  これからもっと傷付けることになるだろう。  罪悪感が押し寄せるけど、中途半端にはできない。  こんなやり方しかできなくてごめんね―――そう思った時だった。  手の中のスマホがブブブと震えだす。  はっとして、わたしは着信画面に目を向けた。   
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