とけあう夜

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「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげる」 「な、何するの」 「ここ、舐めていい?」    セレンが軽く目配せをする。  あられもないその場所に、わたしは声を上げた。 「だめーーー! 絶対だめ! 無理、ほんと無理! お願い、それだけはやめて!」 「すぐに気持ち良くなるよ」 「いや無理! まじで嫌だ。気になって、それどころじゃないよ。わたしにはハードルが高すぎる。絶対に無理!」 「そんなに言うなら、また今度にしようかな」  セレンは意地悪く笑いながら、わたしの両足を大きく割って入った。  ベルトに手をかけたところで、これから何をするのか分かったわたしは、慌ててクッションを抱いた。  閉じた瞼に、ありったけの力を込める。 「見ないの?」 「見るわけないじゃんばか!」 「そのうち慣れるよ。見たら欲しいと思うくらい」  セレンの声が、えらく楽しそうで腹が立つ。  わたしはクッションに顔を埋めて、セレンに見えないように頬を膨らませた。 「こんな時まで、からかうなんてひどいよ」 「いろ巴が可愛いくて」 「……うそだ」 「ちょっと喜んでる」 「うるさいな! やっぱりからかうのが楽しいだけじゃん」 「楽しいのは、いろ巴のことが好きだからだよ。何してても可愛い。知れば知るほど好きになっていく」  セレンはわたしの太ももを大胆に持ち上げると、両足の付け根に身体を押し付けた。  硬くて大きい何かが当たって、思わず身じろぎそうになる。 「おれ、めちゃくちゃ興奮してるよ。いろ巴が欲しくてたまらない」 「……だけど、」 「いろ巴の、もっと深くて誰も知らないところが知りたい。じゃないと、おさまらない」  抱いていたクッションを取り上げられ、ベッドの端に投げられる。  隠すものがなくなって両手で顔を覆ったわたしを、セレンはうっとりとした表情で見つめた。 「おれだけに教えて」  懇願され、身体の奥からじわりと熱が滲む。  わたしだってセレンが欲しい。  けれど言葉にするのが恥ずかしくて指の間から無言で見つめ返すと、セレンは艷やかに口角を上げた。 「初めて、もらうよ」  ゆっくりと腰を沈めていく。  わたしに気遣いながら、少しずつ押し進めてくれているのが分かった。  裂けるような痛みはあるけど、思っていたほどじゃない。  セレンがちゃんと中を解してくれたおかげだろう。  ゆるゆると動き始めた頃には、痛みなんてこれっぽっちもなくなっていた。  うっすらと汗ばんだセレンの背中に腕を伸ばす。  しっとりとした肌が絡みつき、セレンをさらに近く感じた。  室内に響き始めた水音に煽られて、自分でも知らない甘い声が漏れ出る。  腰を掴まれて揺さぶられながら、荒くなる息を抑えてセレンを見上げた。
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