とけあう夜

18/18

240人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「靴下」 「探してたのかなと思って」 「靴下なんか探すわけないじゃん! それよりもっと必要なものがあるでしょ? しかも、裸に靴下ってありえないくらいダサい組み合わせだしさ」 「これじゃなかった?」 「違う、全然違う!」  セレンから靴下を奪い取り再び隠れようとした途端、太い腕がブランケットの中まで伸びてくる。  手のひらが、肩から背中をするりといやらしく撫でた。   「別にいいじゃん、そのままで」 「よ、良くないよ! それよりも手つきがなんかあやしいというか……」 「そう? 今からまたするからかな」 「今から、また!?」 「今日は朝までずっとこのままだよ」 「朝まで……!」  呆気に取られている間にブランケットを無理やり剥がされ、セレンがわたしに跨る。  むき出しになったなけなしの胸を両手で隠して、目の前の色気だだ漏れな男を睨みつけた。 「セレンのばか、変態!」 「おれ、いろ巴が考えてる百倍はえろいと思うよ」 「は!? どういうこと?」 「分かんないなら、確かめてみて」  唇に、セレンの唇が軽く押し当てられる。  睫毛が触れ合いそうな距離で、焦がれるような視線をうんと浴びると喉が小さく唸った。  だめだ。  セレンが好きすぎて、もう1ミリも勝てる気がしない。  諦めにも近い気持ちで微笑みを返す。  きっとこうしてセレンに振り回されることは、これから先も変わらずにずっと続くんだろう。  けれどそれも悪くないかもな、なんて幸せな未来に思いを馳せながら、わたしはゆっくり目を閉じた。   
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

240人が本棚に入れています
本棚に追加