別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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唐沢直哉に視線を送った。 「杉ちゃんのこと連帯保証人にしてないよな?」 「してません。」 籍を抜くだけで杉田夕実への被害を心配することがなくなるなら、すぐに動くべきだ。 「杉ちゃんとこに離婚届書いてもらいに行こうか直くん。俺、近くで待ってるからさ。」 「私も、それが懸命かと思います。唐沢さ…直くんの弁護はそれからになるかと。」 岩屋弁護士の優しげな顔の奥に力強い正義感を感じずにいられない。真正面からヒーローというタイプに見える。俺もそっち側の人間ではあるが。 「また、唐沢さ…直くんの浮気相手とも一度接見する必要があります。 あなたにアンゼンローンを紹介した経緯や理由をご本人から聞き出したいんです。」 唐沢直哉は、俯いてため息をついた。 「直くん、都合よくにゃんにゃんした相手に裏がないわけないんだから諦めてよ。」 「確かに初めは都合よくにゃんにゃんしてましたけど。でも、ゆいちゃんは……俺にとって癒しで。」 「女子らしくて、おっぱいデカくて下着がエロいから?」 「澤木さんは直接的で下品ですね。ゆいちゃんのこと、俺もっと内面的なとこ見てますから。ゆいちゃんには、夕実に話せないことも話せるし。」 はあ?内面的って何? てかよ、自分のこと浮気相手にペラペラしゃべるなよ。 「夕実と別れたら俺、ゆいちゃんとちゃんと付き合って、ゆいちゃんのこと守りたいって思ってるんです。」 は?守るって何?そういうこと言う男、この世でいちばんくだらないからね? てか、お前になんて守られて喜ぶ女いるわけねーし。 てかよ、比嘉結菜の後ろに深池組がいるの。わかってんの?ヤクザを味方につけてる女なんだよ、比嘉結菜は。 「そんなゆいちゃんに騙されてるわけないんです。」 唐沢直哉アホすぎる。めまいでクラクラするわ。
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