別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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ここにいる人間と自分は180度違う人間だ。 杉田夕実は、派手な髪色でつけまつ毛バサバサの女子たちをぼんやり眺めている。 ーーーバカ女。クズ女。セックスが好きな牝。発情期のアバズレ。底辺で男の精液絞ってるエロブス。全員、頭悪そう。無価値。 夕実はキャストの若い女の子たちを見ながら、脳内で暴言を吐いていた。 若いデリヘル嬢たちはスマホゲームをしたり、爪の手入れをしたりして待機している。 「まりさーん。ピンゴジ[※ラブホ]行くよー。」 「はーい。」 ドライバーがデリヘル嬢を呼んで運んで行く。デリヘル嬢はだいたい地元では働かない。知り合いに会ったら気まずいからだ。 「まりさん、常連増えてんねー。」 別室から新人のキャストと共に出てきた新沼が、“まりさん”のご機嫌を取っている。 「うち、シコシコすんのマジうまいから。新沼っちも試すー?」 “まりさん”が陰茎を扱く時の手つきを新沼に見せている。新沼は苦笑いして新人のキャストに目を向けた。  「いや、いいかな。この子の練習、毎日付き合って亀頭ヒリヒリしてんだよねー。俺のジュニアちょっと休ましてーなー。」 新人キャストは、亀頭のいじり方が雑なようだ。 「ヤバー。擦りむけて血ぃ出んじゃね?」 “まりさん”が新沼の顔を見てゲラゲラ笑っている。 「それより稼げよ。」 「はーい。」 “まりさん”は、新沼の店の指名No.1になりつつある20歳のフリーターだ。 派手な見た目、喋りがおもしろい、お客の愚痴を聞いてあげる優しさもある、M男に好かれやすい、時間内で射精させる回数が多いなど付加価値のあるデリヘル嬢だった。
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