別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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“まりさん”がでかけて行くのを、夕実は壁に寄りかかって見ていた。 この部屋で起きていることはとにかく他人事だ。 だが、少し懐かしい。と夕実は思う。 夕実は未成年者や自分と同じ二十歳そこそこの女の子の話し相手になりながら、何人も夜の店に斡旋していた。 夕実は優しいふりをして女の子たちを良いように使い体を売らせ、女の子たちから金を巻き上げていた。 そんなことを部屋の隅でぼんやり思い出している。 深池祐樹に暴力を振るわれ、この店に裸で連れてこられて3日が経った。 顔の腫れは引かず、折れた歯もそのままで痛みがある。流石に下着と服は与えられたが屈辱的だと思った。 それは比嘉結菜のランジェリーショップから購入されたものだった。 薄紫色のナイトウェアワンピースを1枚着ていて下は、夕実が今まで履いたことのないセクシーな紐パンのTバックを着用させられていた。シルクで肌触りが良いが、なんだか落ち着かないし着心地が悪い。 与えられたどの下着を着ようともこの着慣れない心地悪さはついて回った。 アルコールが切れると不安と顔の痛みが消えないため、ここでも酒を飲み続け意識は朦朧とし続いている。 部屋をぼんやり眺めていると新沼が夕実に近寄ってくるのが見えた。 ーーー私を抱きたいのかしら。そうよね。ここにいる女どもは頭の悪いブスばかりだもの。 夕実は自分の置かれている立場を理解せず、新沼が少しでも自分に近寄ってくれば、新沼が自分を求めていると思うようになっていた。 新沼の指をもう一度性器に沈めて欲しいと、腰をくねらせるまでに求めるようになっていた。
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