別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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夕実も知らない、直哉の黒い部分。 他人に晒せないもの。 人は誰しもそんな秘密を持っていそうだが、直哉は相当やばかった。 「だから、夕実さんと結婚しちゃえばいいのに。」 比嘉結菜は、直哉の雄を膣に咥え入れながら、冷静な頭でそう言った。 「…やめてよ、今それいう?最近、どんどん料理上手くなってきてて、ほんと怖いんだよ夕実。」 比嘉結菜の柔らかな膣壁の中に己を深く押し込めながら、直哉はため息をついた。 「…直くん、そこいい。ぐりぐりして。」 甘い甘い比嘉結菜の誘いは、直哉の脳みそを沸騰させる。 「ん?こう?」 「…ぁっ、…んっ。」 直哉の欲を膣壁で捕まえながら腰をくねらせる。 「やっぱかわいい。夕実と全然違う。」 「…直くん、借金また増えたんでしょう?夕実さんに保証人になってもらわないと……。」 唐沢直哉はギャンブル狂だった。 違法賭博海外サイトに多く注ぎ込んで、闇金にも手を出している。自爆するのは時間の問題。 「でも、結婚なんてやだよ。夕実と、毎日24時間一緒にいるの息詰まる。」 「えー。ひどいなあ。愛してるって嘘?別れるなら死ぬってお芝居?」 「あの時は金蔓(かねづる)になってくれるかなって。アイツいない時に通帳見たら2000万くらい貯金あった。ほんと、堅実な女。」 「じゃあ、結婚しなよ。早く。」 「やだよ。あんなTodoリストな女。決まりきっててつまんない。エロくないし、貧乳マグロだし。肌ガサガサだし。」 「ひどいなあ。直くんは。結局体?」 「俺、下着と体はエロいのがいいから。」 直哉が腰を振れば、比嘉結菜は身を震わせる。滴る愛液の淫美な香り。夕実からはもはや感じ取れないそれに溺れていく。 「イイ。直くん。…ぁっ。もっと。…んー。ぁあっ。」 「ここ、好きだね?」 子宮の入り口に己の先端を打ち付ける。跳ね上がる結菜の蕩ける顔をじっくりと見つめた。 「好き、そこ。もっと。…んっぁっっ…。イっ。…んん。な、ぉくんっ。」 「エロいね。最高に。……はぁ……んっ。」 「もっと、激しく…。奥に。いっぱい。」 「わがままだなー。そういうのたまんない。」 夕実といればセックスはただの義務。でも、比嘉結菜といればセックスは心身を満たす快楽。同じ女性でいてなぜこうも違うのか。 「ねえ、夕実さんと結婚してよ。」 「…えー。」 「その方が、私もっともえる。」 比嘉結菜の言葉の裏など唐沢直哉には読みとれない。 「直くんは、…誰よりも特別だよ。」 「特別?」 どんな意味かも、どんな特別かも、ボンクラな唐沢直哉にはわからない。 「…ぁっ。もっ、イっ。な、ぉっく、ん。イっ。」 「いいよ、2人でイこ。」 比嘉結菜の唇に唇を重ね、唐沢直哉は激しく腰を揺らした。 直哉は増える借金の現実と、比嘉結菜との快楽という現実に、夕実との夕食の約束のあることなどすっかり頭から消えていた。 直哉から言い出したことなのに。
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