別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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サイトの紹介文が2行だけ読めるように掲載されている。 “ギャル、熟女、地味系…お好みに合わせてホテルに運びます。※指定のラブホテル限定です。” デリヘルだけどホテヘルの形態か。健全店だね。自宅とかは危ないからな。働いてる子は安心だわ。深池組じゃないのかな……。 “♡レズプレイもOK女性の方もご利用ください♡ 《オプション》 アロマエステコース、⭐︎裏メニュー……” 裏?あからさまに怪しいだろ……。 リンクのバナーをタップしようとする 「澤木さん」 「どぇ!!」 後ろから声をかけられ思わずスマホを投げそうになった。 振り返れば唐沢直哉だ。 「お前よ、声かける時は正面からだろ!!」 「知りません、そんなルール。」 「じょ、常識だろ!」 「何慌ててるんですか?」 まさか、画面見られてないよな? あ。俺のスマホ、覗き見防止フィルム貼ってたわ。 あぶねー。調査とはいえ、性風俗サイト見てんのバレんのやだし。 「いや、調査途中だったんだよ。」 「まさかとは思いますけど。」 「は?」 「エロビ見てました?」 てかコイツ。俺に慣れすぎじゃないの?何を聞いてきてるの?てか、エロビ?は?バカじゃない? 「いや、エロビは見るよ。普通に部屋で。なんなら今ここで見てもいいよ。健全だろ。お前も抜くとき見るだろ。ファンザ。」 「開き直らないでくださいよ。」 「え、てか何?」 「あ、すいません。病院に……。」 唐沢直哉の腕の怪我の治療。ギャンブル狂…依存症のカウンセリング。病院は俺が連れて行っていた。深池組にいつ襲われるかわからないからだ。 きょうはカウンセリングの方に予約が入っている。心療内科だ。 「澤木さん。」 「ん?」 「警察から連絡は……。」 「きょうは来てない。」 「澤木さん。」 なんでいちいち名前呼ぶの? 「ん?」 「本当は夕実の居場所知ってたりとか…?」 「いや、知らないけど。ん?」 「澤木さん。」 「なんだよ?」 「なんで知らないんですか?」 「いや、まだ探してないから。」 「澤木さん。」 「はい?」 「さっき風俗サイト見てましたよね。」 バレとるがな。 「怖いよ、直くん。」 「澤木さん。」 「風俗行きたいとか思ってないよ、俺は。」 「調査途中って言ってましたよね。」 唐沢直哉、一体何が言いたいんだ? 「澤木さん。」 「え?」 「それって、夕実が風俗に売り飛ばされたって考えてるってことですか?」 「……だったら、なんだよ?」 まさか、余計なことするなとか言わないよな? そこまで冷たい人間じゃないよな? 唐沢直哉、何考えてるんだ?
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