別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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「おい。アル中。」 新沼は夕実の背中を蹴り上げた。夕実はその場に力無く崩れ落ちる。 「なんだその態度。なあ?」 眉間に皺を寄せた新沼の顔をじっと見ているうちに思い出した。 新沼は、9年前数原幸乃を看板に使いつつも客を取らせなかったデリヘル店のオーナーだ。 当時の夕実は新沼と数原幸乃の年齢が15歳であったことで揉めたのだった。揉めに揉めて、新沼に女の子の斡旋を断られたのだ。 「あなた、あの頃ユキちゃんを可愛がってたわよね。あなたロリコンなんでしょ?気持ちが悪いわ。 それに。いい年して、こんな頭の悪い女たちに囲まれて。 あなた性風俗なんて仕事しかできなくて、恥ずかしくないの?何がオーナーよ。くだらない。 世間体も悪いし結婚だってできないわよね?」 杉田夕実は、唇を震わせながら新沼に思いの丈をぶちまけた。 「言いたいのは、それだけか?」 新沼は、杉田夕実の前髪を掴んで頭皮を引き剥がさんとばかりに押し上げた。 「昔から変わんねーなー。自分以外をバカだと思える脳みそってどうなってんのか見てみてーわー。ん? 世の中でお前がいちばん頭悪ぃってよ、ずっとわかんねーんだな、可哀想で泣けるわ。 さっさと風呂いって腐った性器洗ってこいよ。」 杉田夕実を無理矢理立たせ、引き摺るようにして風呂場に連れていく。
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