別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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『……最終的には、私が全部悪いことになればいいと思っています。』 2日前。唐沢直哉のカウンセリング中に俺は、比嘉結菜と接見した。 唐沢直哉の心療内科でのカウンセリングは意外と時間がかかる。 もしかしたらと思い、唐沢直哉のスマホに電話を入れてみたところ、比嘉結菜が応答したのだ。 唐沢直哉がフィリピンへ飛ばされそうになったその日の前日、比嘉結菜が“パパに直くんのスマホを渡してはいけない”と思い、唐沢直哉が寝ている隙にスマホを抜き取ったそうだ。 ……手癖が悪い。 それからは、“パパ”に見つからないように唐沢直哉のスマホをずっと隠し持っていたんだとか。 「直くんのスマホ、なんで篠木パパに見つかるとヤバいの?」 「パパに私と直くんのLINEとか写真とか見られたらまずいなって思ったんです。」 比嘉結菜が、自分のスマホを俺に見せた。唐沢直哉のスマホは4桁の暗証番号がわからず通話以外開けらないようだ。 比嘉結菜が俺に見せた写真は、楽しそうに2人でデートしてる写真で。俺の知らない、幸せそうな…こっちが本当の恋人同士なんじゃないかと思うような…。 「…え、いつ?」 「最初の頃です。」 俺が2人を知ったのは2度目の浮気から。 「直くんとは、エッチ以外もしてみたくなって……なんていうか、……試しに普通にデートしてみたら楽しかったんです。 今まで男の人とエッチしかしてこなかったから。」 ……逆にすごいけど。会ったら必ず致せる女。 「直くんは、学生時代ボルダリングサークルにいたそうです。見てください。」
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