別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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「私は、男性と普通にお付き合いするのは無理なので。」 「篠木パパ……?」 瞬きをした瞬間、比嘉結菜の目元から涙が溢れた。 「私は基本。他人は汚いと思っていて。梅乃にパパや、祐樹くん、新沼さんは違うけど……あ。」 比嘉結菜は気を許してるのか自分の取り巻きを全員、俺に言ってしまった。その『あ。』なのか? 比嘉結菜にじっと見つめられた。 「探偵さんも。触れそう。なんとなく。」 「え?」 たぶん、比嘉結菜は強迫性障害のようなものを持病に抱えているのだろう。信頼できないものには触れない。酷くなれば外から買ってきたものは全て洗うかアルコール消毒をしなければ家に入れられないという人もいる。 「……別に無理しなくていいけど。」 「……なんとなく、距離感が少し遠くにいる人は安心できるんです。私に下心がない人なら尚更。 下心があってもエッチだけしかしなくて、変な執着がなければ良くて……。」 「…じゃあ、俺がゆいちゃんに突っ込みたいってなっても?」 「割り切ってくれるならどうぞ突っ込んで。試してみます?」 比嘉結菜に余裕そうな顔をされた。 まるで、“あなたは口だけですよね?”と見透かしているようだ。 「はは。ゆいちゃんはずっとそうやって男を見極めて生きてきたんだ?」 「うん。」 「でも、直くんは?」
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