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杉田夕実には深池組への未払いの上納金がある。9年前、杉田夕実は買春法違反や風営法違反なんかをしながら深池組の島を荒らし未成年を売り捌いて荒稼ぎしていた。その島を仕切っていたのが篠木由治。好き勝手やって業界から消えた杉田夕実を篠木由治は許していない。
だからこそ、今、杉田夕実は地獄を見ている。
「比嘉結菜、いや数原幸乃。
杉田夕実へ恨みがあることで深池組に利用されていることにも気づけ。このままだと、お前が罪を全て」
「もう、いいじゃないですか。それで。最終的には、私が全部悪いことになればいいと思っています。
直くんには、酷い女だったって鼻で笑ってもらって、私のことなんか忘れて欲しいもの。
直くんのことが好きだから、もう、苦しめたくないんですよ。」
比嘉結菜は勘違いしている。
唐沢直哉はさほど苦しんではいない。こんな状況下においてもバカだからのほほんとしているのだ。
てか。色々諸々、俺に隠しても無駄だってどうやったら比嘉結菜にわかるのか。
「だから、探偵さん。もう私のことなんか調べないで。時間の無駄です。」
比嘉結菜が涙ながらに俺に唐沢直哉のスマホを押し付けてくる。
「直くんに渡してください。比嘉結菜がさよならって言ってたって伝えてください。」
おいおい、これじゃ比嘉結菜が悲劇のヒロインだよ。綺麗にまとまったつもりか。煮え切らないにも程があるよな。
このまま自分だけ罪を背負っておしまいにするなんてさせてたまるかよ。
「…そんなの自分でやってよー。」
俺は伝書鳩ではないので押し付けられたスマホを比嘉結菜に押し返した。
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