別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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「待って!嫌だ!!嫌だ!!」 夕実がバタバタ暴れ、看護の顔を爪に引っ掛けた。それは皮膚の薄い目元で、看護師の顔には血が滲んでいるが夕実は全く気に留めなかった。 唐沢直哉が、ボックスティッシュを一枚抜いて、看護師の目元を拭った。 「夕実、人に怪我させてどういうつもり?看護師さんに謝って。」 夕実は、自分のそばに寄ってきた直哉に手を伸ばす。 「直哉ぁ。嫌なの、直哉ぁ。」 唐沢直哉は杉田夕実から伸ばされた手を拒否するように避けた。 「気持ち悪い。怪我させて謝りもしないんだ。夕実のそういうところ直した方がいいんじゃない?」 直哉は夕実に軽蔑の目を向けた。 夕実は直哉の視線に興奮し自分の股に手を当て徐に擦り始める。 「直哉ぁ。私を早く連れて帰ってセックスしてよぉ。ねえ、ここがアツいの。体がムズムズするの。お願いよ。セックスしてぇ。」 直哉は杉田夕実の態度や恍惚とした表情、股を摩る手の動き、声色、口臭、体臭…杉田夕実の存在全てに吐き気を覚える。 「気持ち悪い、マジで。誰が性病のお前とヤるかよ。その辺の犬とでもヤってろよクソ女。」 直哉が罵倒するにも関わらず、夕実は脚を開き、自分の手で股を摩り続け体を震わせ始めた。 直哉の視線は、夕実を興奮させる。どんな意味の視線でも見られることに悦びを感じてしまう。 「…ぁん、ゃっあっあ。…イっ。見て、見て、直哉。私を見て。もっと。イッ…クぅん。イクの見て。」 直哉と夕実の間にいる看護師は、視線を床に向け気まずい顔をしている。直哉も夕実を視界から外した。 「すいません、代筆してください。離婚は夕実のためです。夕実は、正気を取り戻すまで時間がかかると思います。 その間にまた、誰かに酷い目に遭わされないための離婚なんです。」 「……わかりました。」 直哉と看護師がそんなやりとりをしているにも関わらず、マスターベーションのスイッチが入った夕実は、衣服の上から芯を擦り頂を目指している。 「ぁあっ。イクー。ぁあっあっあっ。んぁああん。なおやぁ。見てぇ、イっちゃうからぁ。ん、ぁあぁああっ。ハァハァッ。ィイっ。ハァハァ。ダメェっ。ひぅうぁあああんっ。」 杉田夕実は絶頂に達し、体をブルブル震わせた。
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