別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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杉田夕実が唐沢直哉と付き合い始めたのは、3年前。 直哉は後輩で、中途採用。夕実の働く部署に入り、夕実は直哉に仕事を教えた。 2人は仕事をする中で意気投合し、プライベートでも度々会うようになり付き合い始めた。 夕実の頭には付き合って当初から結婚の二文字が浮かんでいた。現在、夕実は29歳。直哉は27歳。直哉はいつも結婚には現実味を感じていない。 夕実が結婚を匂わせるたび、直哉は逃げるように他所の女…年下の比嘉結菜に逃げ道を作るようになった。 比嘉結菜は、現在24歳。直哉にとっては浮気相手にちょうどいい。結菜は『直哉を己の性処理の道具くらいにしか考えていない』と、夕実に話している。 「あの女。性処理なら性風俗に行けば良いのに。」 …と、苦虫を噛み殺すような顔で俺を睨みつけてそう言ったのは、俺が初めて直哉の浮気現場を押さえた日。 その頃…2度目の浮気発覚当時までは、夕実は直哉と別れたいとは思ってはいなかったようだ。 二度あることは三度ある。 『愛しているのは夕実だけだ』なんて言っていても、同じ女と三度も浮気している男に嫌気がさすのは当たり前のこと。 仏の顔も三度まで。 ただ、夕実にとっては3回目はということ。 三度目の正直はもはや夕実には通用しない。 「比嘉結菜が何を言っても、私はもう許す気はありません。」 「うん。」 「直哉が、自分の首を切っても別れます。」 「うん。」 「2人揃って地獄に落としてやります。」 うん。怖い。 「だから澤木さん、証拠を押さえてください。」 「りょ。」
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