別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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「ロレックス、あなたのものじゃないですよね。あなたいつも、腕時計なんかしてないでしょ。今だってスマホで時間確認してるし。ロレックスは誰から借りたもの?」 唐沢直哉がスマホをポケットに押し込んだ。 「あなたはギャンブル狂で違法賭博海外サイトに注ぎ込んだため、闇金に2000万円の借金がある。 惚れた弱みで比嘉結菜につけ込まれた。」 「ゆいちゃんは、夕実に騙されて…夕実がしたことは最低だから」 「復讐の手助けをしてあげたかった……。恋は盲目ってよく言ったもんだと思わない?直くんね、気持ちよくされて利用されただけだよ。わかる?」 俺が、“直くん”って呼んだことに対して唐沢直哉が目に涙を滲ませたのを見逃さなかった。 「直くん、助けてあげてもいいけど…どうする?」 問いかければ、唇を真一文字に結んで拳を握りしめた。コイツは最低中の最低男。助ける義理なんてどこにもないはずだが、俺の悪いクセで口が滑った。 「……じゃあ、助けてくれよ。 俺はただ夕実ともう別れたかった。俺はただゆいちゃんのこと好きになっただけ。 てか、助けるって?え? 俺だってもうどうしたらいいかわからない。わからないから、怖いから従うしかない。 簡単に助けるとか言うけどさ、は?助けられるもんなら、助けてみろよ。」 ……めんどくせぇ。逆ギレかよ。全部自分で蒔いた種だろ。 杉田夕実と別れたいなら別れたいって話し合わないからこうなったんだろ。まあ、あの癇癪持ちじゃ無理だろうけどそれでもなんとか説得しろっつーの。
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