別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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唐沢直哉と比嘉結菜が出会ったのは、直哉が勤務している会社の下請け会社に勤める新沼博敏(にいぬまひろと)が幹事をしていた合コンがきっかけだ。 新沼は、……かつて杉田夕実が20歳の頃に比嘉結菜(数原幸乃)を斡旋したうちのデリヘル店のオーナーでドライバーだった。 新沼の店は極めてクリーンで本番は絶対NG、利用は契約のあるシティホテル限定だった。 そのため、新沼は数原幸乃がデリヘル嬢の待機所に連れてこられた当時、彼女が15歳であることに察しがついた。 店は杉田夕実の手前、数原幸乃を受け入れ、デリヘル嬢としてホームページに写真は載せたが、幸乃への指名は一切受けなかった。 風営法に違反することをわざわざやるような店ではなかったということだ。 『あー、ユキちゃん今、空いてないんですよー。えー、他の子、そうですねー、ユキちゃんみたいに胸大っきい子ですよねー…』 待機していた幸乃が聞いていたのは待機所のスタッフが電話応対する声。幸乃目当ての客に対し全て断りの言葉をのべていた。にも関わらず、 『ユキちゃんのきょうの出勤代ね。』 そう言って7万円程度をたった3時間、待機所にいただけて渡してくれたのが新沼だった。 『何もしてません。』 そう伝えると 『ユキちゃんいい看板だし、もっとあげてもいいんだけど。』 と、こどもが好みそうなお菓子を添えて渡してくれた。 数原幸乃は地獄に仏だと思った。 親の借金の返済のためとはいえ、不潔な男の洗っていない淫部を咥えさせられる日も、伸び切った不潔な爪で膣内を掻き回される日もあった。 新沼の店だけが唯一、数原幸乃が体を休められ場所だった。
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