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杉田夕実が社内で肩身の狭い思いをし始めて約10日。唐沢直哉の解雇が人事部からの社内メールで知らされた。
誰が直哉の仕事を引き継ぐのか……部署内では、それが喫緊の課題となっていた。
杉田夕実の所属する部署は、仕事の仕方の問題だが自分以外の社員の仕事内容がほぼほぼわからない状況だった。
個人個人で案件を扱うため顧客の情報もあまり共有しないし、仕事の進捗を報告しあったりもしなかったのだ。
夕実は、直哉の仕事など引き継ぐ気などさらさらない。いちばんの被害者は自分なのに、これ以上、仕事でまで直哉の被害を受けたくないのだ。
「杉田さん、ポンドホームズさんなんですが……。」
新人女子社員が電話を保留にして夕実に応対を願っている。
「知らないわよ!!もう、あなたがやりなさいよ!!!」
新人のキャパ以上の仕事をするのはパワーハラスメントに値するが、夕実にはそんなことすら判断できない。夕実は精神状態が不安定になっていた。
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