別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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杉田夕実は、自分の置かれている状況を考えられる状態ではなかった。 男の指はまた増えて、夕実の性感帯を抉るように膣壁を擦り続ける。 尿で濡れる茂みの中にある芯はすでに剥き出しでそれを見つけた男がそこを親指で強く擦った。 「ぁああーん、いやぁあん。ィイ。…ぁあっ。はぁ。イクっイクっ。」 夕実が身をビクビクと震わせれば、内壁からつながる表の皮膚に痙攣が見える。肛門までもがいやらしくヒクヒクと疼いている。男はからかい半分そこにも指を沈めた。 「ぁあん。ィイ。いやぁーん。」 夕実は、肛門活躍筋や腸壁に感じる指の熱にも腰を振る。膣に響いてくるような快楽に沈んでいく。 「へえ。ケツも開発してやろうか。」 「おい、いつまでやってんだよ。」 「ケツでも稼げそうだから。性器腐ってもいけそうだなー。ケツでイケるかあとで試すわ。」 「趣味悪りぃなお前。」 飲み続けていたアルコールと、深池祐樹に痛めつけられた顔の痛みのせいで頭が働かない。 ただ、今すぐ殺されるわけではないのはわかる。 「とにかく、じっくり地獄に落とせ。」 「じっくりなあ…。篠木さんには連絡してあるけど。」 深池祐樹は、杉田夕実の髪を掴んでトランクから引き摺り出し地べたに転がした。 夕実の裸体にアスファルトの上の細かな砂利が擦れて表皮が削れ血が滲んだ。 「新沼。そのババア、幸乃より酷い地獄に落とせ。篠木さんもそれを望んでいる。」 「乃村さんが言うには相変わらずプライドが高いらしいけど。」 男が裸体で転がる夕実を靴で突いた。 「知るか。このババアに人権はない。サルと同等に扱え。いうこと聞かなきゃ暴力でねじ伏せろ。」 深池祐樹はイラつきながら杉田夕実を蹴り上げた。杉田夕実が「ぎゃっ」と声をあげれば、さらにその口を蹴り上げる。 「祐樹、イラついてんなあ。」 「マジで殺してもいいんだけど。」 「やめとけ。こんな女殺してムショ行きなんて洒落になんねーぞ。」 男たちの話し声を聞きながら夕実の意識が薄れていく。 ーーー死ぬには足りない。ただ、意識を失うだけだ。 そう思いながら歪む視界で夕実が見ていたのは男たちの革靴だった。
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