別れたい女たち 〜恋は愚か愛は憎しみと紙一重〜

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「唐沢さ…直くん。アンゼンローンから初めに借りた金額はいくらだったか覚えていますか?」 「街金に借金を返すために……126万円……。俺はゆいちゃんの知り合いで信用があるって……担当の深池って人が…ポーンと現生貸してくれました。」 「……そこから先は?」 「ギャンブルに使って…ちょこちょこ…3万とか、5万とかを30回くらい。」 唐沢直哉がチラチラ俺の顔色を見ながら項垂れていく。 いや、俺の顔見んなし。 「現在の借金の総額は2000万円を超えている。 元金はおよそ300万円程度です。不当な利子が付いていますね。 唐沢さ…直くん。1円でも返済しましたか?」 「……借りるばかりで返してません。」 はあ? そりゃ取り立てが自宅に来ても文句言えないよな。 岩屋弁護士が、唐沢直哉ではなく俺を見つめてきた。 「澤木さ…澤ちゃん。」 「え?」 「基本、借主は闇金業者に対し返済の義務はありません。知りませんでしたか?」 ……知らなかった。 「え、そうなの?知らなかった。直くん、ごめんね。俺、勉強不足だった。反省する。」 唐沢直哉に向かって頭を下げた。 パソコンをいじりながら岩屋弁護士が、ふうっと息を吐いた。
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