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ある日学校の帰り道で、ボクは変なものを拾いました。
ちょっと小さなちくわみたいな形をした、何かを切ったようなものでした。
手にとってよく見てみると、それは指でした。
ちゃんと爪もついた人間の指でした。
誰かが落としていったのでしょうか。
ボクはお巡りさんに届けようかとも思ったけど、近くに交番もなかったので、ちょっと落とした人はいないか探してみました。
すると、すぐそばにとっても怖い顔をしたおじさんがいました。あれは刺青というのでしょうか、腕に何か描いてあるような人でした。
ボクは以前、ああいう人たちは指を切る習慣があるというのを聞いたことがあったので、聞いてみることにしました。
「あの、これ落ちてたんですけど、おじさんのではないですか?」
するとおじさんは変な顔をして「どこの組のもんじゃ」と聞いてきたので、「3組です」と答えました。おじさんは気持ち悪そうに去っていきました。
まったく困ってしまいました。
家に持って帰るわけにもいかないし、と思ってたら、ちょうど野良猫が通りかかったので、ボクは「ほら、食べな」とあげてみました。
猫はにおいを嗅いで最初は嫌な顔をしていましたが、結局しょうがなしにという感じで口にくわえて持っていきました。ボクはとりあえずほっとして家に帰りました。
その夜、ママがテレビを見ながら言いました。
「猫ちゃんが人間の指くわえて交番に届けたんだって。えらいわねえ」
そうなのか、あの野良猫にとって人間の指は不味くて食べれなくて、仕方なくボクの代わりに交番に届けてくれたようです。
また会うことがあったら、なにか美味しいご飯をあげたいなとボクは思いました。
おしまい
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