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亜里君は、平然と言ってからお酒をいっきに飲み干した。
「好きだったんだね。何かそんな風な事、千夏は聞いたって言ってたから」
「好きじゃなかったよ」
亜里君は、マスターにおかわりと言ってグラスを見せている。
好きじゃなかった?亜里君の言葉はおかしい。
だって、私は千夏から……。
「川井さん、吉井先輩に好きだよ、好きだよって言われてたのに別れられて悲しかったみたい。今も吉井先輩のその言葉を信じて待ってるらしいよ」と聞いたのだ。
「それは、嘘だよ」
「嘘じゃないよ。俺は、別に川井美和子を好きじゃなかった」
「じゃあ、どうして好きって」
私の言葉に亜里君はニコニコ笑いながら煙草に火をつけた。
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