運命って残酷。

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私の覚えている高校生(あのころ)の亜里君が少しだけ黒く塗りつぶされるのを感じる。 高校生(あのころ)の亜里君は、どこかシャイな人で……。 178センチと高身長でスッキリとした塩顔が特徴だ。 そんな目立つルックスとは違い。 女子に話しかけられると少しだけハニかんで笑うような人で、会話もうまくなかった。 女子生徒達は、そんな亜里君と話しては離れ、話しては離れを繰り返していた。 そして、最後まで図々しく亜里君に声を掛け続けていたのが私だ。 気づけば亜里君から、私に声をかけてくれるようになった。 今みたいに名前で呼ぶわけじゃない。 「ねぇーー、ねぇーー」と近づいてきて話すだけ。 いつか名前を呼ばれたい。 いつか亜里君の隣に彼女として並びたい。 高校生(あのころ)の私は、幾度となくそんな夢を見ていた。 亜里君に告白して振られる度に、何故か距離はどんどん近くなって。 不思議なぐらい、もうすぐって信じられた。 波野山(あのこと)がなかったら。 あの出来事の後、亜里君と私の距離は少しだけ遠くなった。 私から亜里君を意識的に避けたのもあったのかも知れない。 連絡先を知らない私達が、物理的に距離が離れれば終わるのは当然の事だった。 「るーーかちゃん」 「あっ、ごめんなさい」 「聞いてた?今の話」 「あっ、うん。聞いてる」 誰でもよかったなら、私でもよかったんじゃないの? 高校生(あのころ)の亜里君がしたわけじゃないのに、一瞬こう思ってしまった。 私が好きだった亜里君は、こんないい加減な人じゃないのに……。 いや、でも。 人は変わらないっていうから、だとしたら初めからこんな人だったの?
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