叩きつけられた離婚

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「それじゃあ、私は今日、実家に泊まるから」 「俺は、荷物纏めていくよ」 「わかったわ。じゃあ」 気をつけてと言おうとしてやめた。 夫婦として、まだ生きていくならわかるが……。 離婚するなら、気をつけては何か違う気がした。 俺に与えられた部屋のクローゼットから、荷物を入れられそうなバックやキャリーバッグを取り出す。 今年に入ってから、俺と瑠美は空海が眠ってから何度も大喧嘩をした。 今までだって瑠美はスマホを見た事がある。 当然SNSだって調べていただろう。 だけど、この6年一度もバレなかった。 それは、俺が毎回きちんと履歴を消していたからだ。 それが今回バレたのは、したからだった。 年末に、会社の先輩と話した時に盛り上がって昔の忘れられない恋の話をした。 大人になってから、誰かにその事を話すのは初めてだ。 歳を重ねる事に、口に出してはいけない事だと勝手に思っていたから。 先輩が俺に昔の忘れられない恋を打ち明けてくれたのをきっかけに俺も忘れられない恋の話をした。 先輩は、最後まで何も言わずに聞いてくれたあとで。 「その人、何してるか検索してみろよ」と笑っていった。 俺は、名字がうろ覚えでわからないからと言ったけれど……。 「もしかしたら写真載ってるかも知れないじゃん。だから検索してみろよ」と先輩に言われて検索する事になってしまったのだ。 何度も、何度も検索した文字を入力する。
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