Magic1:出会った2人

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 あまりの推しの接近にキャパオーバーしたメイは発狂してしゃがみ込み、床を這うようにしてソウスケから逃げ出した。 「なんで逃げるんだよ。なぁ」 「いやっ!今その顔を近づけないでほしいです!だって推しがこんなに近くに!」  ソウスケは逃げていくメイに困惑しつつ追いかける。そのまま廊下を進み、曲がり角でぶつかると見せかけて、方向転換して階段を駆け下りた。しかしそこは教室が並ぶ廊下で逃げ場がない。メイは階段の踊り場からさらに下の階へと逃げた。 「あ、おい!待てって!」  そんなメイを追いかけてソウスケも階段を降りる。メイはまだ追ってくるソウスケの気配に驚き、推しがしつこいっ!と嘆きつつこの状況を打破する為に、変身魔法で妖精になる。  ーーこのまま窓から逃げるしかない!  ふわふわと宙を浮いて窓の外へ飛び出した鳴。これでもう一安心。ああ、推しに追われるなんて幸せなのに息苦しかったななどと考えながら、メイは飛んでいった。  しかし…… 「見つけた」  ソウスケの声がしてメイは慌てて振り向く。するとそこには窓枠に足をかけているソウスケがいた。まさか?と思った瞬間、彼は勢いよく外へ飛び出す。そして落下する寸前に魔法で羽を出して飛び上がった。 「ぎゃぁぁぁ!死ぬぅぅ!」  あまりのことにメイは絶叫しながら校舎の上まで逃げていった。そんなメイを見上げながらソウスケが笑う。 「へぇ、妖精ってそんな速く飛べるんだ?」 「えええ!?もうついてきてる!?なんで!?追ってくるの!?」 「逃げる獲物って追いたくなんだよね」  そう言いながら二人は屋上に到着して、メイが屋上の扉から校舎の中へ逃げようとした瞬間、そのドアを押さえるようにソウスケの腕が伸ばされる。 「だーめ」 「……っ!」
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