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「確かに。調子乗って高いところ浮いてる時に解除されたら終わりだね」
「恐ろしい……では!この愛らしい姿で自販機行ってきまーす。あ、力とかは元のままなんですかね?飲み物もてます?」
「基本的なスペックは元のまま。あくまで変身魔法だからね」
先輩に手を振られながらメイは「了解ー」と部屋の外に出た。魔法塔はその名の通り魔法に関する研究施設。魔法アイテムや魔法武器なんかのメンテナンスも含めて様々な事業を執り行う。メイは専ら自身の体質のために魔力分解や解析の方の仕事をこなしているので、他の部門には余り立ち寄らない。
「自販機は共有場所にあるから他の部門の人に出くわす率高いけどー、この姿で会ったら驚かれるなぁ」
そんなことを呑気に呟いてふわふわと飛んでいくメイ。連日の徹夜もあって疲れていたのだろう。人の足音も聞こえておらず、自販機目前の曲がり角で盛大に誰かにぶつかった。
「ぶえっ」
「おっと……ん?妖精?」
「ふぇ?なっ!!?」
顔をさすりながら声のした方を見上げるとそこにいたのは、黒髪黒目で長い前髪を後ろにあげている男だった。その男のことをメイはよく知っている。なぜなら……
「へぇ、魔法塔って獣魔使役してるやついるのか。オレンジの妖精は珍しいな」
175cmの鍛えられた細マッチョのしなやかな体に切れ長の目。そしてトレードマークの魔法武器である魔法槍。彼は魔法学園でも有名な魔力ランクAの戦闘狂、日野ソウスケだった。
何故彼のことを身長まで詳しく知っているのかといえば、答えは簡単。メイの魔法学園の同級生であり、推してる人物だからである。
ーー日野くんが!目の前に!なぜ!?
「ん?なんか、急に慌てだしたな。俺に狩られるとでも思った?さすがに誰かの契約する魔物にまで戦いおっぱじめねぇよ」
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