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先輩がドン引きする傍らでメイは気が狂ったように転げ回った。でもきっともうこんなに間近で触れ合うことはないだろう。ある意味一生分の運を使い果たしたのだとメイは自分自身を納得させた。
***
翌日、魔法学園に登校したメイは昨日の出来事をクラスの友達に語る。
「推しに会えたんだよぉぉ!声もイケボで全てが尊いのよわかる?」
「まったくわからん」
メイの席の目の前でスマホをいじりながら適当に聞いている女友達はメイの推し語りには慣れっこで軽く流していた。
「でもなんかよくわかんないけど、いいことあるんじゃないの」
「ん?なんで?」
「その日野ソウスケって人に認識されたってことでしょ?それがきっかけで絡みがあったら、イベント発生よ」
友達のアドバイスにメイはポンと手を叩いた。それからみるみる顔色が変わる。
「つまり!モブからヒロインに昇格したということ!?」
「うん、なんていうか……前向きな思考回路で乙」
「でも推しは眺めるのがベストなのにいいい!でもおおおお」
引き気味の友達にも気づかずメイは頭を抱える。すると、何やら教室の外が騒がしい。なんだ?と顔を向けると、そこには昨日見た推しの姿!
「ちょっ、なんで!?推しがそこに!」
「落ち着きなって。てか、隠れるの早っ」
メイは机の下に潜り込み、友達に腕だけ出して指示を出す。
「なんで隠れるの?せっかく推しが来たんだよ?」
「いやだって、推しと対面とか……無理じゃん!死しか見えん」
「相変わらずメンタル雑魚ね」
机の下でうごうごとしているメイを呆れて見下ろす友達。そこでクラスの女子にソウスケが声をかけた。
「ねぇ、月宮さんってこのクラスにいる?」
「いるよー」
「ぎゃあ!裏切り者!」
友達がメイの所在を教えてしまい、メイは机の下から引きずり出された。
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