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目の前には、いつのまにか入ってきたソウスケがおりニンマリと人のいい笑みを浮かべている。
「ちょっといい?」
「いえっ、その……はいぃ……」
メイは挙動不審になりながら、ソウスケと共にクラスを出た。
「月宮さん、学生証届けに来た」
人気のない廊下の奥まった所でソウスケと対峙するメイ。壁に追いやられて逃げ場もない。
「あばばば……えと、ありがとうございます?」
推しのご尊顔!直視できないぃぃ!と心の中で叫びながらもなんとかお礼を言った。すると、ソウスケが学生証をメイに手渡しながら言う。
「昨日ぶつかった時に落としたから」
「ああ、なるほど、あの時に……」
「……へぇ、やっぱりあんたがあの妖精だったわけか」
そこでメイは口を滑らした。変身魔法を使ったことなど黙っていればバレないのに、簡単に肯定してしまった。学生証を落としてるのだからバレバレなのだが、少なくとも知らないフリを貫けばここで話は終わっていただろう。
ソウスケがニヤリと笑う。
「なぁ、あれは変身魔法?それとも妖精が本体で今が化けてる方?もしそうなら、ちょっとバトってみたいんだけど」
まさかのセリフにメイは呆気に取られた。よりにもよって推しのバトルを拝めるチャンス!しかしふと気づく。ん?もしや、戦う対象って……私?
「え、えっと……その、あれは変身魔法でして、私は……」
しどろもどろになりながらもなんとか説明しようとするメイをソウスケは壁に追いやったままでいる。そして顔を近づけて言った。
「なぁ、ちょっとでいいからさ?」
「ひぇ……」
メイは顔を真っ赤にして、目を潤ませる。そんなメイにソウスケがさらに顔を近づけたその時ーー
「うぎゃぁぁぁぁ!むりっ!めっちゃ無理!ほんっと無理!」
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