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冷や汗を垂らす私の姿と恰好を、ギルダーが色眼鏡越しに眺め。
「――加えて、その身に着けている品々のレベルの高さ。……君はここの生徒ではないな? 何者だね?」
私は、嘆息しつつ、手にしていた折れ曲がったミスリル製のパルティザンを、投げ捨てる。
その槍が、残滓となって消えていくのを視界に納めながら。
「驚いたのはこちらですよ。まさか、これほどとは。さすが兵科の試験官を任されるだけありますね」
「なるほど、オレの事は既によくご存じのようだ。では解るだろう? ――私は試験官であると同時に、ここの警備の責任者でもある。……こんな真似をされて、黙ってはおれんぞ」
言いながら、ギルダーが、腰から武器を抜いた。
右手には曲剣!?
左手には――小盾付きの魔工短杖……!?
そんな特異なスタイルで。
それらを突きつけ、ギルダーは言う。
「……もう一度問おう、あんた、何者だね? 何をしにここに来た? オレを襲った目的は?」
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