9人が本棚に入れています
本棚に追加
私がその巨体の全容に、驚いた。
その時。
「黒竜派・壱式 ――『神成爪禾』!!」
雷鳴と共に、二日月を象る斬光が、三重の軌跡を描いて迫り来る。
咄嗟に、私は動いた。
「――逸らせ、空蝉の嗜虐――『弾道歪曲壁』!!」
重属性の魔術式で軌道を逸らす。
術式の強度と即応性を両立させるために、なんとか固有節と名称節による術式宣言を間に合わせた。
それで、まるで爪を思わせる三つの斬撃は、狙いを逸らされて地面に穿たれた。
ずどん、と物理的な威力で土砂が舞い上がり。
迸る雷の威力が衝撃となって周囲を震わせる。
しかしながら、そのすべての余波をも。
私の魔術は何一つ寄せ付けなかった。
最初のコメントを投稿しよう!