シエナと魔法槍術指南

4/36
前へ
/36ページ
次へ
「なっ!?」  その驚きの声は、少女らしき音色だ。  そして、雷の攻撃を放った者の声でもある。  巨大なゴーレムの奥には、ヒトが居たのだ。  ハルバードのような得物を手にする小さなシルエットが、ゴーレムに対して躍りかかり、雷の魔力を乗せた一撃を、繰り出した。  そしてその攻撃範囲の行く末には、ゴーレムのすぐ背後にいるこの私も含まれていた。    だから私は防御の魔術を唱えた。  結果、私は無傷だったが。  同時に、ゴーレムも無傷だった。  誰の仕業かは知らないし、なぜここに居るのかも不明だが、魔銀製の魔導機兵(ミスリルゴーレム)は強敵だ。  今しがたの無礼もある。  雷の少女が、この巨体(じゃまもの)を排除するというのなら私も加勢するべきだろう。  そう思った。  けれど。 「――……まさか人がいたなんて……」  雷使いとは別の少女の声が、頭上から降り注ぐ。  その巨体を見上げ、よく見ると、肩の上に人の影が見える。    ――つまり、魔銀製の魔導機兵(ミスリルゴーレム)の飼い主……おそらく『(ごん)属性』と『()属性』をメインとして使用する魔術師だろう、しかもゴーレムの各所に刻まれた陣(プログラム)を見るに、かなりの手練れだ。  そして。   「あたしの技を防いだ? 咄嗟に、魔術で……?」  ハルバードを握る少女は、驚いている様子だった。  その頭には、キツネのような耳が見え、ふさふさの尻尾も見える。  そのすべての色彩は、金色だった。  「――……獣人? ……狐の……?」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加