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「なっ!?」
その驚きの声は、少女らしき音色だ。
そして、雷の攻撃を放った者の声でもある。
巨大なゴーレムの奥には、ヒトが居たのだ。
ハルバードのような得物を手にする小さなシルエットが、ゴーレムに対して躍りかかり、雷の魔力を乗せた一撃を、繰り出した。
そしてその攻撃範囲の行く末には、ゴーレムのすぐ背後にいるこの私も含まれていた。
だから私は防御の魔術を唱えた。
結果、私は無傷だったが。
同時に、ゴーレムも無傷だった。
誰の仕業かは知らないし、なぜここに居るのかも不明だが、魔銀製の魔導機兵は強敵だ。
今しがたの無礼もある。
雷の少女が、この巨体を排除するというのなら私も加勢するべきだろう。
そう思った。
けれど。
「――……まさか人がいたなんて……」
雷使いとは別の少女の声が、頭上から降り注ぐ。
その巨体を見上げ、よく見ると、肩の上に人の影が見える。
――つまり、魔銀製の魔導機兵の飼い主……おそらく『金属性』と『土属性』をメインとして使用する魔術師だろう、しかもゴーレムの各所に刻まれた陣を見るに、かなりの手練れだ。
そして。
「あたしの技を防いだ? 咄嗟に、魔術で……?」
ハルバードを握る少女は、驚いている様子だった。
その頭には、キツネのような耳が見え、ふさふさの尻尾も見える。
そのすべての色彩は、金色だった。
「――……獣人? ……狐の……?」
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