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ゴーレムが、ずしりずしりと、重々しい足音を轟かせて、方向転換する。
私の方に向けて。
付与した暗視が、魔銀製の魔導機兵を駆る少女を捉える。
光沢のある金属質に、腕部の大きなゴリラのような形態の魔導機兵。
それに乗る少女もまた、狐の獣人のようだった。
ただし、色彩は銀色だ。
金狼、銀狼ならぬ、金狐、銀狐だった。
10代前半の年頃に見える両者はよく似ていて、双子かもしれない。
だとしたら、両者が敵対しているとは限らないはずだ。
むしろ――、
「あんた何者?」
――今両者の敵意は私に向きつつあった。
金色の娘に、ハルバードを突きつけられる。
私は両の手を上げて、無抵抗をアピールしつつ。
「ごめんなさい。ただの魔術師です、通りすがりの」
はぁ? と金色の娘に疑いの目を向けられる。
「いったい、何をしていたんですか?」
銀色の少女に、ゴーレムの高所から問われる。
「本当にただの通りすがり……というか少し気になって見に来ただけですって」
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