シエナと魔法槍術指南

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 確かに二人は手練れだった。  合成も、魔法陣の呪文(コーディング)も、そつなく上手い。  けれど、それはやはり学生という中での話だった。      実のところ。   私は拍子抜けだった。  蓋を開けてみれば、そもそもの魔術の練度が段違いであることから、白兵戦になるまでも無かったのだ――。 「――ッ!?」  シエナが驚き、悲鳴のようなモノをあげる。  同時に。  ハルバードの穂先が、明後日の方に吹き飛び、くるくると宙を舞って地面に突き立った。  そのまま残滓となって消えていく。  シエナの手に残ったのは、柄だけだ。  私の振るった大剣が、同じ(ごん)属性魔術――ミスリルで作られているハルバードを一刀の元に切断したからだ。  これは、武器の性能の差。  魔術で作ったモノである以上、魔術の力量の差によるものだ。  そして。  続いて、突き出され、迫りくるゴーレムの拳を、跳んで躱すと同時に、水車の如く回転し、斬撃を置いて回る。  私が着地するのと、バラバラに斬り刻まれたゴーレムの腕が音を立てて崩れ落ちるのは同時だった。   「一撃で……! ――これは威力というより、精度の差……?」    一瞬で悟ったのだろう。  スールアの言葉にも諦めが混じる。  魔術で作られているのなら、ゴーレムとて同じ。  籠められた術式の精度や魔力の密度。  様々な要因を加味しても。    私の大剣を弾き返すクオリティでは無かったということだ。  そもそも。  作り出した武器の材質、圧縮されている武具の製造工程が違い過ぎた。 「――神器(オリハルコン)は、少しやりすぎでしたね」  特に材質の差は大きかった。  ミスリルでは、防ぎきることは困難だろう。 「材質を落としましょうか……? 魔銀(ミスリル)、もしくは、鋼鐵(スティール)あたりにでも……?」 「(いい)……太刀筋を見れば、あんたが武器の扱いにもたけているのは解る」 「……負けでいいですよ。勝てる気がしないので」  結果的に。  勝敗が決するのに、1分もかからなかった。  
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