蠱惑Ⅱ『愛の形』

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「このまま交際は続けるけど、結婚は分からないわ」  男子も頷きました。 「それじゃ気になる相手が出現したら別れるかもしれないんだね?」 「そうかもしれない」 「それは不純だと思う。ひとりの男性、女性を愛してこそ人間として最高の愛の形だと思う」  二人は微笑みました。 「それもそれでありだし、恋愛を重ねて本当に愛する人に出遭う事も愛の形だと思うけど」  女子の言葉に男子も頷いています。 「君等はまだ若いから愛そのものの存在が分かっていなんだよ。お嬢さん、あなたにとって最高の愛とは何かな?そちらの坊ちゃん、君にとって最高の愛とは何だと思う?」  私はいつしか饒舌になっていました。 「愛?」  女子が首を傾げました。 「難しいけど、障害者を持った母親の決意」 「えっ」  私は仰け反りました。 「僕が思う最高の愛は戦争体験者が祈る平和への思いだと思う。これ以上の愛はないと思います」 「えっ」  私は二人から離れ歩き出しました。私が考えていた愛の形は朝日に溶けてしまいました。 「くだらない」  私は朝日に叫びました。 「おじさん、気を付けて」  二人が手を振りました。 「ありがとう」 了  
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