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「このまま交際は続けるけど、結婚は分からないわ」
男子も頷きました。
「それじゃ気になる相手が出現したら別れるかもしれないんだね?」
「そうかもしれない」
「それは不純だと思う。ひとりの男性、女性を愛してこそ人間として最高の愛の形だと思う」
二人は微笑みました。
「それもそれでありだし、恋愛を重ねて本当に愛する人に出遭う事も愛の形だと思うけど」
女子の言葉に男子も頷いています。
「君等はまだ若いから愛そのものの存在が分かっていなんだよ。お嬢さん、あなたにとって最高の愛とは何かな?そちらの坊ちゃん、君にとって最高の愛とは何だと思う?」
私はいつしか饒舌になっていました。
「愛?」
女子が首を傾げました。
「難しいけど、障害者を持った母親の決意」
「えっ」
私は仰け反りました。
「僕が思う最高の愛は戦争体験者が祈る平和への思いだと思う。これ以上の愛はないと思います」
「えっ」
私は二人から離れ歩き出しました。私が考えていた愛の形は朝日に溶けてしまいました。
「くだらない」
私は朝日に叫びました。
「おじさん、気を付けて」
二人が手を振りました。
「ありがとう」
了
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