羨ましい

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 ふと目が覚めてスマホを手繰り寄せる。  飲みながら机に突っ伏していたらしく首と腰が痛い。  画面を見るととっくに日付が変わっていて、僕は慌ててスマホをタップした。   「すいません。寝ちゃってました」  深谷先生に電話をしながら辺りを見ると、周防くんはクッションを抱き締めて床に転がっている。 「周防くんも床で寝てますが……どうしましょう?」  また連絡をすると言って飲むことにしたのに……思いつつ落ち着かなくて少しテーブルの上も片付けた。 『さっき住所を送って頂いたので近くにいますよ?』 「え!?じゃあ、めちゃくちゃお待たせしてたじゃないですか!?」  窓の方を見てしまうがもちろん見えるはずはない。 『ふふ、大丈夫です。たまには同期でこういうゆったりした時間も必要でしょう?』  優しいその言い方は建前ではなく素直な言葉に聞こえるがどうなんだろう? 『それに周防先生のケアは僕の務めなので』  そうやって見守られる周防くんがまたかなり羨ましく思った。 『結構飲みましたか?』  聞かれてテーブルをざっと見る。 「ビール二缶とチューハイは……三缶ですかね?」 『そうですか。航生(こうき)さんは次の日二日酔いになりやすいのでよければ今から迎えに行きますが』  名前呼びになって電話の向こうで深谷先生が心配しているのが伝わってきて、そのまま迎えに来てもらうことにした。  パートナーはこんな風に気にしてもらえるものなんだろうか? 「……いいなぁ」  僕の声は誰にも届くことはない。
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