羨ましい

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 それは決して無理をしているようには見えないが、どう見たって体格差があり過ぎる。  Domって底知れない。  思いながら僕は慌てて周防くんの荷物を持ってドアを開けて、エレベーターも、下にあった先生の車のドアも開けていった。  深谷先生の首にしがみついて幸せそうな周防くんは助手席に降ろされると、今度は離れるのを嫌がる。 「……仕方ないですねぇ」  深谷先生は呟くと周防くんの頬に手を添えてゆっくり唇を重ねた。 「んっ……」  嬉しそうにすぐにそれに応える周防くん。  力が抜けた隙に深谷先生が離れると、周防くんは物足りなさそうに手を伸ばす。 「航生、“Stay(待って)”」  コマンドを聞くと周防くんはすぐに手を下ろしてコクリと頷いた。  簡単に周防くんを落ち着かせると、深谷先生はドアを閉めてこっちを見る。 「重ね重ねご迷惑をお掛けして申し訳ございません」 「いえ!お二人が幸せそうで……安心しました!」  素直にそう告げると、深谷先生は荷物を受け取って少し頬を掻いた。  照れくさそうな姿は少し周防くんと似ている。 「それでは失礼します」  深々と頭を下げて車に乗り込んだ深谷先生。  それからも何度も頭を下げて車は走り出す。  助手席でうっとりと先生を見つめる周防くんは先生に頭を撫でられていた。  周防くんもそれなりに欲が強くて苦しんでいたのに。  日常的にコマンドをもらえるとあんな穏やかで落ち着けるのだろうか?
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