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「「「おはようございまーすっ!!」」」
元気よく響く児童たちの声。
「おはようございます!」
僕も挨拶をして頭を下げると、
「着席!」
クラス委員が号令を掛けてそれぞれが席に座った。
「はぁ……今日ずーっと図工にしよーぜぇ」
「永遠!今は朝の会だから静かに!」
座ってすぐにギッとイスを鳴らして後ろ足だけでバランスを取る皆木永遠。
うちのクラスで背もそれなりに高くて足も速い、一番影響力のある児童だ。
「え〜……タリィ」
面倒くさそうなその姿。
「永遠!」
睨みを利かせると、
「へぇへぇ……ったく」
カタンとイスを戻してすぐにヘラヘラと笑った。しかし、
「皆木!」
クラス委員の里保が堪えきれない様子で注意すると、
「うっせ!ブスが!」
永遠がべぇっと舌を出す。
「はぁーっ!?」
立ち上がって睨み合う二人。
「里保も永遠も座って」
僕は歩いていって二人を座らせてから日直に会の進行を促す。
どちらも席には座ったが空気はあまりよくない。
四月から何かとこの二人は衝突を繰り返していた。
男子の中のトップでおチャラけた永遠と女子の中のトップで真面目な里保。
とりあえず席替えをして席を離したり、できるだけ二人が一緒にならないようにしたりしているが、今のところこれといって解決策は見出せていない。
何とかしたいのだが……力不足を痛感してギュッと短パンを握った。
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