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「永遠、木村たちも」
永遠だけじゃなく、後ろにいる他の児童にも声を掛ける。
「ちょっとおいで」
一度職員室に立ち寄ったのもあって永遠たちは顔を引き攣らせたが、僕が学習室の鍵を取っただけなのに気付いてホッと胸を撫で下ろす姿はまだまだ子供らしい。
今日は夏休み唯一出校日だが、このまま終わらせて大怪我をしないように……これはちゃんと話しておきたかった。
鍵を取るついでに猪俣先生にも話したから、もし朝の会の時間になっても他の先生方がフォローはしてくれる。
「なぁ!しょーま〜!もうやんねぇって!外、遊び行けねぇじゃん!」
面倒なことになったと思ったのか、少し怠そうに言ってきた永遠を少し見た。
「いいから……ね?」
そのまま階段を上って学習室の鍵を開けると、中に入ってクーラーと扇風機をつける。
蒸し暑い教室に永遠たちは嫌そうな顔をしたがちゃんと入って来た。
「ロンダードからの後方宙返りとかカッコいいよね」
近くのイスに座って言うと、
「は!?わかんの!?」
永遠が大きく反応をする。
「僕も六歳から高校に入るまでは体操をやってたからね」
「マジで!?」
すぐに木村も目を輝かせた。
「全員、誰かに習っているわけではない?」
聞くと、全員の首が縦に動く。
「それならイメージだけでバク宙なんてやるな。怪我するからやめなさい」
「でもっ!!」
「永遠、聞け」
珍しく永遠もピタリと口を閉じた。
「教えてあげることはできるよ?」
「え!?」
期待に満ちたその目。
「夏休みだし、たまには学校に遊びにおいで」
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