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下校を終えて職員室に戻ると猪俣先生は既に席に戻ってきていて、僕は自然と速歩きになる。
「先生!今日はありがとうございました」
永遠たちと話せたことを報告して、更にさっき考えた提案をすると、猪俣先生は腕を組んでちょっと悩み始めた。
「それだと二組の子たちだけにならない?」
そう言われるのは想定内。
「今年は一学期にマットやったし、そこで側方倒立回転ができた児童って何人か居ますよね?」
例年なら三学期にやるマット運動だが、今年は土の入れ替えや点検があってグラウンドが使えなかったのもあってもう終わっていた。
まだ完璧とはいえないが永遠もそれなりに形になっていたし、うちのクラスも数人できるようになっている。
バク宙をただ禁止するのではなく、まずは側転を……何でもダメとは言いたくなかった。
それに隊形移動で少し余る時間で、やれる数人で側転も披露して一学期の成果も見せたい。
「今年だからできることですし、二学期入ってからオーディションしてもいいと思うんですが」
せっかくのオリンピックイヤーで児童たちも興味を持っているなら活かしてあげたかった。
「外だとマットもないし……できる?」
「三組は二人は確実にいけますね」
竜也先生も推してくれると、猪俣先生は思い当たったらしくて少し笑う。
「あー、杉野くんと松岡くんでしょ?あの二人は器械体操習ってるじゃない」
「一組も沙耶が新体操ですよね?」
去年僕のクラスだった名前を挙げると猪俣先生は伸びをして立ち上がった。
「ちょっと上と相談してくるわ」
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