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開いたままの口、キラキラとしたその目。
「しょーまっ!!ヤベェって!!」
興奮気味で走ってきた永遠に微笑み掛ける。
「マジじゃん!」
「全日本男子新体操個人種目三位の実力は本物ですね」
良太も走ってくると、その後から他の児童たちと歩いてきた竜也先生が拍手をしてくれた。
「全日本!?」
「三位!?」
明らかに児童たちの目が変わった気がする。
ただ、そんなので僕は評価されるつもりはない。
「それだけだよ?一度も一位にはなれなかったし過去の話だ。まぁ、男子新体操には先がないし」
プラプラと手を振って伸びると、永遠は不思議そうな顔をした。
「そうなのか?」
「男子は競技人口も少なくて国際大会もないからもちろんオリンピックもないしね?そもそも新体操に男子があるのも知らなかっただろ?」
笑うと、永遠たちはコクリと頷く。
「それでも僕は器械体操より新体操がやりたかったんだよ!好きだからね?」
「え……あのリボンとかヒラヒラすんの?」
引いたような木村を見て笑ってしまった。
「男子はスティック、リング、ロープ、クラブだよ。女子みたいなリボンもボールもフープもない」
たぶん児童たちはイメージもできていないだろう。
「世の中、スポーツだけでも色んなモノがあって、まだまだ君たちが知らないものもいっぱいあるよ!結果も大事だろうけど、自分が好きだって言えるモノに出会って欲しいかな?」
でも、こんな真剣に永遠たちが話を聞いてくれることが嬉しかった。
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