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「ハァ……」
ほとんど人の居なくなった職員室。
「また永遠ですか?」
片付けを終えたらしい竜也先生に声を掛けられて苦笑いをする。
「去年もそんなんでした?」
竜也先生は今年六年から降りてきた先生で、持ち上がりであるのは僕と猪俣先生だ。
「んー……去年は三組で鬼頭先生も相当手を焼いたみたいでしたねぇ」
答えると、竜也先生は少し考えるような仕草をする。
「……永遠って何か興味あるものとかないですかね?」
「興味、ですか?」
ギッとイスを鳴らして仰け反ると、立ってリュックに荷物を詰めていた竜也先生はこっちを見て頷いた。
「あいつ、体格もそれなりに恵まれているし、成績もそこまで悪くないでしょ?運動に関しては学年一と言ってもいいくらいですし……今の持て余しているパワーをぶつけられるものができると変わる気もするんですけどねぇ」
それはそうかもしれないが、それが簡単に見つからないから困っているわけで……。
「ま、焦らずに!でも、抱え込み過ぎずでいきましょうね!学年でもサポートするので!」
言いながら竜也先生がリュックを肩に引っ掛ける。
「お先に失礼します」
「お疲れ様です」
帰っていく竜也先生を見送って僕はまたパソコンに目を戻した。
もう一学期もあと少しで終わり。
この学年は二年生からもっていて児童全員の名前も大体の家庭環境もわかる。
成長を感じて嬉しいことも多いが、四年になって悩む部分にも出てきたのは確かだ。
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