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「うまくいきましたね?」
永遠たちが帰っていくのを見送って職員室に戻りながら竜也先生がニヤリと笑う。
「新体操のことワザと言いましたよね?」
隣に並んで見上げると竜也先生はイタズラが成功した子供のような顔をした。
「今日来ていた皆木、木村、長谷(良太)には効果的だったでしょう?」
脱いだその靴も僕とはサイズが全然違ってちょっと凹む。
だが、あのキラキラした永遠たちの顔を見ることができたのは確かに嬉しかった。
「俺も佐藤翔馬のダイナミックなタンブリングを忘れられないんで」
「は?」
「俺は高校最後のサッカーの試合で負けて腐ってたんですけどね。スタンドから離れて歩いてたらやたら盛り上がってて、覗いたら男子新体操で」
上を向かれたら僕からは竜也先生の顔は見えない。
「男が?って最初はバカにしたんですけど、あのキラッキラの笑顔とめちゃくちゃキレのあるダイナミックな技に目を奪われて夢中になったんですよ?」
戸惑っている僕に竜也先生は照れたような顔を向けてきた。
「憧れの佐藤翔馬と一緒に仕事なんて……実はずっとドキドキだったんです」
いつも頼りになって何でもサラッとやってしまう竜也先生が?
その後も熱狂的に話されて、僕はどうしたらいいのかわからなかった。
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