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ハルはまたご飯を持って来てくれていて上がってもらう。
テーブルを出そうとすると、かなりの視線を感じてそっちを向いた。
「何?」
「いや、翔馬の部屋はいっつも生活感ねぇなって?」
グルッと何もない部屋を見回すハルを見て笑う。
「体動かさないと落ち着かなくてね。柔軟と軽い基礎練だけはやってるから」
「ここで?」
「うん!ほら!さすがに何かあると邪魔でしょ?」
その場で左右に開脚して体をペタリと床に付けた。
そのままグッと体を前に伸ばしていたが、何の反応も聞こえなくて顔を上げる。
すると、ハルは口を開けたまま固まっていた。
その反応がおもしろくて、立ち上がった僕は倒立をしてピタリと止めてから前転をしてハルの目の前に立つ。
目を合わせてからバク宙をすると、ハルは目を見開いた。
「いや、何か言ってよ」
笑ってしまうと、ハルはやっと動いて少しだけ拍手をしてくれる。
「いや、凄くて……びっくりした」
「ありがとう!このお陰で今、仕事もかなりうまくいってるんだ!」
まだ驚きの抜けていないハルに笑いかけると、ハルは僕の腕を掴んで引いた。
「それで仕事に夢中になって連絡に気づかなかったのか?」
目を細められて肩を竦める。
「Come」
僕の手を離したハルの腕が左右に拡げられてその胸に飛び込むと、思ったより強く抱き締められて嬉しくなった。
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