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先生はテーブルの向こうにスツールを用意して座る。
ハルは僕から見たら左側で、先生から見たら右側のカーペットに座ってテーブルに頭を乗せた。
湊さんが先生とハルにもアイスティーを用意して部屋からは出て行く。
「顔色いいね」
先生に微笑まれて僕は自分の頬に触れた。
「前々回は数日でサブドロップに陥るほど体調を崩したし心配していたんだよ」
「ご心配お掛けしてすいません」
「いや、元気なら何より」
頭を下げると、先生はフルフルと首を横に振る。
そして、その視線がハルに移ると、ハルは少し先生を見てからフィッと目を逸らした。
笑った先生は白衣のポケットからスマホを取り出してどこかに電話をする。
「あ、僕の部屋の冷蔵庫に紙袋が二つあるので、大きい方を持ってきて頂けますか?」
話しながら先生はまたハルを見ていたが、ハルはテーブルに顔を伏せていた。
しばらくしてノックの音がする。
入ってきた湊さんから紙袋を受け取ると、先生はそれをテーブルに置いた。
「これは翔馬くん用だって」
「は?」
先生に微笑まれても僕は意味がわからない。
「今日はサンドイッチを頼んでいたんだけどね。きみの分まで持ってきてくれたんだよ」
その目がまたハルに移って僕もハルを見た。
でも、ハルはまだ顔を上げない。
「ありがとう」
「ん」
お礼を言うと、それだけが返ってきて少し笑ってしまう。
また耳が赤いのは照れているからだろう。
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